みつ豆日記

人生迷子の満身創痍独り身アラフィフが、日々の思いをひたすら綴ります。

綺麗じゃなければ価値がないの?

最近時間があるので、スマホ依存になっています。仕事が忙しくて、スマホをみる時間があまりなかった頃には、気にも留めてなかった情報が、日々気になり始めています。

一応私も女ですので、美容に関しては気になるところですが、あまりにも情報が多いせいで、もうお腹いっぱい。まるで、綺麗じゃなければ、生きる価値もないような気持ちになってしまう程の、世の中の美への執着ぶりに、正直疲れてしまいました。

綺麗でいることは、あくまでも自分のため。確かに分かります。鏡を見るたびに、映る自分の顔の状態が良いと、笑顔だって簡単に作れちゃいますもんね。疲れ果てたシミだらけの顔で笑顔になれっていわれても、なかなか難しいですもん。それができる人は、本当に強い方だと思いますね。

ここで、批判を受けるのを覚悟でいえば、綺麗でいることって、ある種マウンティングでもありますよね。人間も動物ですから、本能的により強い遺伝子を求めるもの。女性としていかに優れているか、男性にとっても、視覚的で最もわかりやすい要素です。綺麗の基準は時代によって変化するといいますが、現代のモテ顔というのは、やはり、現代必要な要素があるから、モテるわけで。特に肌つやの良さなんて、若さを象徴する最たるもの。年代を超えて、最近は性別問わず、スキンケアに執着するもの理解できます。肌つやは臓器の健康状態を反映するともいわれますから。要するに、ビジュアルの麗しさは、生物としての強さの表れでもあるといえます(美人薄命なんていうものもありますが)

そんな身も蓋もない理屈ばかり、この世の中にはあふれているけれど、私はつい思いを馳せてしまうんです、この綺麗キラキラ信仰の世界の中、きっと、今も苦しんで外にも出られないであろう人たちがいるということを。

もののけ姫というジブリの作品の中で、隔離されて、包帯ぐるぐる巻きの人たちの描写があったのを覚えておられる方もいらっしゃると思います。

私は、10代後半から20代にかけて、アトピー性皮膚炎で使用していた薬離脱を行ったために起こる、リバウンド症状に苦しんでいました。あの時の状態がまさに、あの包帯ぐるぐる巻きの人たちと同じ。私は、いつ治るともしれない中、ただひたすらに、痒みと湧き出る体液でぐちゃぐちゃになった皮膚が、回復するのを待ち続けました。想像を絶する、というのは実際体験しないと分かりません。痒みで気絶しそうになったり、発狂しそうになったり。もう随分前のことになるので忘れてしまっていますが、とにかく、生き地獄でした。

特に心を痛めたのが、顔面でした。顔って、さすがに隠せないじゃないですか。顔はどろどろに溶けたようになって、眉毛は抜け落ちて。痒みがひどいので、夜は腕を後ろ手で縛って寝ていましたが、それでもあまりの痒みに引きちぎってしまうという。よく耐えたなと思います。顔ってニキビひとつできたって、気になりますよね。鏡を見る顔が、毎日どろどろなそんな状態だと、何より心も病んでいきます。笑顔なんて絶対作れっこないんです。極限の人間に対して、ポジティブシンキングって、本来軽々しく言えるわけがないんです。

私の時代には、ステロイド剤は魔法の薬と呼ばれていた時代です。万能薬のごとく使用され続けた結果、ついに薬が効かなくなってしまい、抜かざるを得ない状態になったわけです。私たちの世代のこういった状況を経て、現在ステロイド剤の使用方法は厳しくなっています。余談ですが、医学に絶対はないということですね、元看護師がいうのもなんですが。

つまり、何が言いたいかというと、ただでさえ、そういった辛い症状をもっている方々が、世の中の綺麗キラキラ信仰をどう受け止めているのか、それを思うだけで私は本当にやりきれないのです。それほどまでに、世の中は見た目に厳しい。

外に出られない状態で、せめてもの慰めに、とスマホを開くと、綺麗な人がより綺麗になるための情報ばかり。こんなボロボロで汚い自分になんて価値はないのだと、美しいとかそういうレベルではない自分に対して、何のために生きているのかと、きっと毎日のように問いかけているのではないかと思うのです。人一倍苦しんでいるのに報われないという現実。

個人的な見解ですが、時代は変わったとはいえ、まだリバウンドで苦しんでいる人は、実は多いのではないかと思うんです。ただ身の周りで、そんなに重症なアトピー性皮膚炎の方をみることもなくなっていませんか。綺麗キラキラ信仰の世の中に出て行けず、引きこもりの中の多くに、重度のアトピー性皮膚炎の方がおられるのではないか、と思わずにはいられないのです。

アトピー性皮膚炎の症状は人それぞれで、完治しにくい病気です。そして、本当は、何よりも心のケアが最重要な病気でもあると思うのです。確かに死には直結する病気ではありませんが、心はいつもSOSを出しています。

もし、今苦しい思いをしている人が、このブログを読んでくれていたとしたら、苦しんでいるあなたのそばに、優しい誰かがいてくれるのを、願うばかりです。あなたは汚くなんかない、一生懸命生きようとしている、あなたの魂は美しいのだから。

アトピー性皮膚炎だけではなく、見た目問題については、今後もまた書いていきたいと思っています。